茨木市議会議員 あびこ浩子 公式サイト

活動報告

2016/07/01活動報告
2016年6月議会 子ども若者支援についての請願(1)

2016年6月議会において、市民の方からの請願が寄せられました。
請願は、紹介議員が必要ですが、市民の皆様のご要望を議会に提案いただき、それを所管の委員会に付託して議論され、本会議にて質疑、討論、採決が行われます。
今回は子どもの貧困に関わる、請願でした。今、子どもの貧困は大きな社会問題になっています。しかしながら、なかなか支援の手は行き届いていません。
特に、ひとり親家庭では、税が投入されたのちの方が、貧困の格差が広がっているという現実があります。つまり、税の再分配の機能がひとり親家庭にはきちんと届いていないのです。
貧困家庭に育つ子どもたちに、支援が行き届く社会を目指しています。茨木市において一日も早い対策を願うばかりです。
子どもたちに地域で支援をされている方々が、請願を出されました。
以下が、請願の趣旨説明がお話しされた内容です。(議事録にも掲載されていますが、ここでご紹介いたします。)
この請願は、私は心に響き民生常任委員会・本会議ともに賛成したのですが、民生常任委員会で否決、本会議でも否決となりました。
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こんにちは。
「子ども・若者とその保護者が安心して地域で過ごすことのできる施策を求める請願」の趣旨説明をさせていただく機会を与えていただき、ありがとうございます。
議員の皆様が、様々な困難を抱えた子ども・若者とその保護者の立場に立ってお考えいただき、この請願にご賛同・採択していただきたく、訴えをさせていただきます。
私は、沢良宜浜在住の奥本匡伸と申します。『「さわらぎ共育の会」ゆめの樹』に所属しており、部落問題をはじめ様々な人権問題に関する取り組みや学習、地域の子育て・子育ちの課題解決に向け、学校や様々な機関と連携し活動をしています。
また、私自身「NPO法人はっちぽっち」で常務理事の立場で関わっています、市受託事業の「CSW事業」や「学習・生活支援事業」、自主事業の小学校高学年を対象とした「学習支援事業」や「長期休みの子どもの居場所事業」などの取り組みから、経験したことについて事例を交えてお話をさせていただきます。よろしくお願いします。
 今から4年前、小学校との会議の中で、長期休みの宿題をやってこない子どもが全体の2~3割いることを知り、その割合の高さに驚きました。その2~3割の子どもの中には、ネグレクトをはじめとした虐待・不登校・ひとり親家庭などの支援を必要としている子どもや、家庭の支援が受けられない子ども、地域で孤立している子どもや保護者が存在しており、子どもたちの教育を受ける機会均等に格差や不平等が生まれていることを知りました。
このような地域課題とも言える事実について、学校にすべてを任せるのではなく、地域にできること、地域住民だからこそ解決する方法はないかと考えました。その結果「長期休みの子どもの居場所事業」を地域住民が主体となり、地域の子ども・若者を支援する団体やNPO・CSW・小学校・中学校が協働して、子どもたちを支援する取り組みをスタートしました。
「長期休みの子どもの居場所事業」では、学校の宿題だけでなく、異年齢でのグループ遊びや絵画教室、ニュースポーツ教室、陸上教室など幅広く取り組み、情緒を養い、身体を動かす楽しさを感じ、その感じたことを共有できる企画にも取り組みました。
また、スタッフも中学生から大学生をはじめ、見守りの大人が集まり、小学校区の中で子どもたちを見守り、育てる事業となりました。
この間、取り組んできた子ども達の感想では、
○家だと宿題を全然やらないけど、ここだと宿題がよくできるし楽しかった
○みんなで教えあったので、ほとんど宿題ができた
○みんなで遊んだこと、お弁当を食べたことがおもしろかった などの声や
スタッフの感想では、
○上の学年の子が下の学年の子に勉強や遊びを教えている姿があった
○わからないことが分かるようになると、友達と一緒にがんばれるようになった
○グループ学習では集中できないが、マンツーマンで付くとできる子がいる
○一人ひとりに合った教え方を考える大切さを感じた などの声がありました。
また、個別に支援が必要な子どもには個別学習を実施しました。家庭で虐待を受けていたケースの小学生は、学校では見られない集中力で宿題をやりきりました。また、小学生のころから不登校の中学生は、大学生のボランティアとのつながりと安心できる関係性をつくることにより、夏休みの宿題を完成させ、始業式に登校することができた。などの多くの成果がありました。
「長期休みの子どもの居場所事業」では、CSWの相談などでつながった小学生や、学校で把握されているしんどさを抱えている小学生を誘導していますが、支援を必要としている子どもはもっとたくさん存在していると思われます。この事業では、個々の子どもにアプローチができる時間も少なく、専門的にかかわりを持てる人材が不足しているのが現状です。また、長期休み期間限定ですので、日常的な見守りや相談・支援にも限界もあります。
次に、自主事業の小学生を対象とした学習支援事業につながった事例です。
 一つ目の事例です。母親がうつ病やパニック障害を抱えているため、体調が悪い時が多く、低学年の子どもが三食を食べていない実態がありました。母親は、時には苛立ちから子どもへの身体的・精神的な暴力がありました。子どもは家庭に居場所がなく、夜間の徘徊や立場の弱い子への暴力を振るうなどの行動で周りの友達が避けるようになり、学校での居場所もなく孤立し、不登校になりました。このケースは、近隣住民がたまたま発見し、自治会・学校・CSWとつながり、先ほど紹介した「長期休みの子どもの居場所事業」と小学生を対象にした「学習支援事業」へ誘導し、信頼できる大人、学習支援ボランティアとの関係づくりから、そこに集う子どもたちとの関係づくりへと発展させてきました。
二つ目の事例です。離婚後、引き取った実の母親から育児放棄をされて住む場所がなくなり、父親のいる茨木市へ転居してきましたが、その父親から身体的暴力を受けている小学生です。転居してきた家には、母親違いのシングルマザーである姉とその子ども、義理の母親など、人間関係が複雑な環境に育ち、家庭での居場所がなくなり、夜間の徘徊、学校へは遅刻や欠席を繰り返すようになり、友達との関係が薄れてしまい、さらには学校へ行きにくくなるという負の連鎖に陥りかけている状態でした。まだ何とかつながっている友だちに「一緒に行こう」と呼びかけてもらい「長期休みの子どもの居場所事業」に参加し、学習やグループ遊びを友達と共有する時間と、人とかかわる機会をつくり、安心できる第三の居場所を提供することができました。その後、小学生を対象にした「学習支援事業」から茨木市の学習・生活支援事業につながり、何とか居場所を確保している状態です。
最後に、中学生・高校生の事例です。
一つ目の事例です。ひとり親家庭いわゆる母一人、子一人の家庭の中学3年生の子どもへの支援です。11月に母親が交通事故にあい長期入院となり、進路決定の重要な時期である受験生の子どもが一人きりになりました。近隣に住む叔母とつながり、学校、CSW、学習・生活支援事業の学習支援員と連携し、子ども本人と保護者の不安の解消のため見守りを続けました。一時は高校進学を断念しかけましたが、「一人で育ててくれたお母さんを楽にさせたい」という思いを強く持っており、相談や支援を行うと同時に、一緒に学習・生活支援事業に参加している同級生からの情報や励ましがあり、希望する高校に進むことができました。
二つ目の事例です。学校での人間関係がうまく構築できず、クラスから「浮いている」状態の中学生です。「離婚した父親の悪口を母親が常に言っている」「小さな弟ばかりにかまって自分にはかかわってくれない」と家庭では居場所がなく、学習・生活支援事業に参加している中学生がいます。「勉強なんかしたくない」「こんな教室にも本当は来たくない」と日ごろから言っていましたが、実は病気以外では休むことなく通ってきていましたし、学校からも学習会に行くようになって安定し、とてもよい居場所になっているのではと話もありました。
この中学生のように週2回の学習会を唯一のよりどころにしている子どもたちがいます。週2回だけでなく日々、学校や家庭以外の居場所があればと考えます。また、中学校を卒業すれば子ども達の居場所がなくなり、生活や学費の不安、学習面や人間関係でつまずくとだれにも相談できずに留年・中退へつながっていくのではないでしょうか。
このほかに、高校を中退し引きこもっている子ども・若者がいます。高校に入学すると極端に情報が入ってこなくなり、家族で抱え込むしかない状況の若者が存在します。さらには、高校まで他地区で過ごした保護観察中の若者がいました。保護司をはじめ地域の人たちが居場所やつながり、さらには職場を提供しようと奔走しましたが、新たな生活の場に信頼できる大人がいなかったためか再犯につながってしまいました。小さい子どものころから信頼できる人が身近にいたら相談できたかもしれない、居場所を提供し、支援できたのかもしれません。
ほかにもたくさんの生活困窮や困難を抱えた子ども・若者とその保護者が存在します。
私たちは、子どもや若者の自主活動や自学自習を見守り、信頼できる大人がおり、この人になら相談できるという関係を築ける身近な相談場所、子どもの問題の背景にある保護者や家庭が抱える課題に寄り添い、深刻化する前に早期発見・早期対応ができる予防的支援の居場所が必要だと考えます。地域住民と行政・学校などとで子ども達の問題や課題を発見し、見守ることのできるネットワークを構築し、その中心となって支援を必要としている子ども・若者に信頼され、様々なサービスやつながりを届ける相談援助機関が必要です。
そのためにも、友だちと学習や様々な体験を共にすることにより、信頼できる大人と出会い・つながり、子ども・若者とその保護者のありのままの姿を理解し、受容される安心の居場所づくりを早急に求めます。
以上、趣旨説明と私たちの体験を訴えさせていただきました。
ご出席の議員の皆さんに、本趣旨をご賛同いただきますようお願い申し上げ、本市議会での採択を申し入れます。「子どもの貧困」をはじめとした子ども・若者とその保護者をとりまく現状はますます深刻化しておりますので、迅速な各施策の実現を求めます。
議員の皆様のご努力とご奮闘を期待いたしまして、終わらせていただきます。

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