先ほどの請願について、本会議において私は賛成討論をいたしました。
一日でも早い、子どもたちへの支援を求めて、読み上げましたが、途中で涙が出そうになりました。生活の中で困難を抱えながらも、自分ではどうにもできなくて、それでも、笑顔で学習支援に通ってきている子どもたちの顔を思い出していました。
この請願は、民生常任委員会では、3対4で否決、本会議でも、賛成者少数で否決されました。
子どもたちの現状を理解していただくのは難しいです。これからも、理解いただけるよう説明を続けます。
以下は私の賛成討論です。
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子ども若者とその保護者が安心して地域で過ごす事のできる施策を求める請願書について、賛成の立場から討論いたします。
「子どもの貧困」が社会全体での問題になっています。OECDの調査による子どもの貧困率は、加盟34か国のランキングによると日本は11番目に貧困率が高いと報告されています。
また、2016年4月にユニセフがまとめた子どもの貧困格差に関する報告によりますと、日本は先進41か国中34位で悪いほうから8番目でした。この報告の内容は、子どものいる世帯の所得分布(推計値)をもとに、下から10%目の最貧困層と真ん中の標準的な子どもとの所得格差が大きいほど、貧困の深刻度が高いとして、格差の小さい順に、欧州連合(EU)または経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進41カ国を順位付けしたものです。
この報告の分析によりますと、「1985年から2012年にかけ、格差は拡大している。真ん中の所得が約177万円から211万円に上がったのに対し、最貧困層の所得は90万円から84万円に下がったためだ。貧困が広がっているだけでなく、深刻度も高い現状が明らかになった。貧困と格差に対処する覚悟が必要だ」としています。
今や6人に一人が貧困世帯に育つ子どもであると言われています。そして、貧困格差がどんどんと拡大してきている現実があるということです。
子どもたちが生まれ育った環境によって、教育の機会が得られず将来の可能性が閉ざされることのないように、また、貧困の連鎖によって、子ども若者の可能性の芽を摘むことのないようにとの請願の趣旨は、まさにそのとおりであり、こども若者たちへ、そして子どもたちの保護者への施策を進めることは喫緊の課題であると言えます。
困難を抱える子どこたちは、市内のどこに暮らしているのか、把握するのは本当に難しいです。困っています、と自ら表明されることが少ないからです。だから、発見されたときには課題は深刻になっているのです。
大切なのは、困難が複雑で深刻になるまで放置しないことです。予防が大事なのです。
茨木地区保護司会だより第60号に、福岡市長 のコメントがございました。
「少年たちの更生には本人の自覚や意欲はもとより、やはり周囲のサポートや理解が不可欠で社会の「無関心」が少年たちを再犯に走らせてしまうのではないかということです。再犯防止には「仕事の確保」と「社会での居場所つくり」が必要であり、生活を安定させることが何より大切であります。」と書かれていました。
まさにその通りだと私も思います。無関心ではなく、ひとりぼっちにしないこと、自分がここにいてもいいという居場所があること、相談できる信頼できる人がいること、そして安定した生活が送れることが必要だと思います。
そして私は、罪を犯してしまった少年たちの更生保護だけでなく、犯罪に走らせないためにも、子どもたち・若者たちに、安心していられる居場所と信頼できる大人とのつながり、安定した生活が必要だと思っています。子供達が犯罪に手を染める前に、取り組みが必要なのではないでしょうか。
地域社会のつながりが希薄になり、大人も子供も、困っているという声があげにくい社会になって来ています。孤独・孤立を抱えないような地域社会つくりが必要です。現在取り組んでいただいている学習・生活支援事業は、勉強を教える場ではありますが、それはツールにすぎず、困っている声を拾い上げ、必要な支援につなぐ、時には地域の関係者で支える場でもあります。
最近マスコミによく登場する子ども食堂も、貧しいから、独りぼっちでご飯を食べるしかないから、という理由だけでなく、そこに来てくれる子どもたちの課題を発見する場でもあるのです。
居場所とは、それ自体が支援であり、また、発見の場でもあります。アウトリーチで課題を発見するには、居場所での出会いはとても有効です。
子どもたちの、課題や問題が複雑化して、どうにもならなくなり、あげくに犯罪に手を染めるところまでいく前に、子ども若者が集う居場所が必要なのです。困っている子ども若者の、保護者の声を拾うことのできる居場所が大切なのです。
請願の趣旨説明の中で、子どもたちの実態について事例をいくつか紹介されていましたが、その中の一つを再度ここでご紹介いたします。
「学校での人間関係がうまく構築できず、クラスから「浮いている」状態の中学生です。「離婚した父親の悪口を母親が常に言っている」「小さな弟ばかりにかまって自分にはかかわってくれない」と家庭では居場所がなく、学習・生活支援事業に参加している中学生がいます。「勉強なんかしたくない」「こんな教室にも本当は来たくない」と日ごろから言っていましたが、実は病気以外では休むことなく通ってきていましたし、学校からも学習会に行くようになって安定し、とてもよい居場所になっているのではと話もありました。この中学生のように週2回の学習会を唯一のよりどころにしている子どもたちがいます。週2回だけでなく日々、学校や家庭以外の居場所があればと考えます。また、中学校を卒業すれば子ども達の居場所がなくなり、生活や学費の不安、学習面や人間関係でつまずくと、だれにも相談できずに留年・中退へつながっていくのではないでしょうか。」と語られました。ほかにもいくつもご紹介いただいています。
また、CSWさんから伺った話ですが、母子家庭のお母さんが緊急入院し、子どもが取り残される事態になりました。お母さんは病院に入院するのも、救急車を呼ぶことをためらって、しんどいからだに鞭打って自力で頑張って病院まで行こうとし、子どものことをお願いできる実家や親戚も近くにいず、また、子どもを預かってほしいとは厚かましくて友人に頼めないというお話をCSWさんに相談の電話をしてきたことで、支援につないだということでした。近隣でいざというときに頼れる人がいない、この無縁社会の現実を感じます。また、父子家庭で、父の帰りが遅く、10時ごろに夕食を食べる小学生の子どもは、学校から帰宅後ずっと独りぼっちであり、そのことを民生委員さんたちもわかってはいるが、つなぐ先がないという話があり、寂しい子どもが夜、徘徊してしまうけれど、つなぎ先のないつらさがあるとのことでした。
せめて子供たちに温かい家庭的な団らんの中で、晩御飯を食べることはできないのか?独りぼっちで寂しさを抱えて夜のまちを徘徊しなくても、安心できる居場所はつくれないものか?学習生活支援事業の中で、晩御飯つくりをしていただいているところもありますが、それらをもっと身近なところで日々展開できないのか?
目の前にいる、困難を抱える子どもたちの現状を見ると、次々と思いはあふれてくるとのことでした。
困難を抱える子どもたちは、茨木の子どもたちです。彼らの現実は今、現在も続いており、支援を先延ばしにすることはできません。場所はどこでも構いません。一日も早く支援の手を茨木市として差し伸べてほしいと思います。
この度、「夢を貧困につぶさせない、子どもの未来応援国民運動」が展開され、日本財団と内閣府・文部科学省・厚生労働省が一体となり、「子どもの未来応援ネットワーク事業」を開始しています。「貧困の状況下にある子供に必要な支援が届くことを目指します。子供たちの「生きる力」を育むための拠点を整備します。」と宣言しています。
国に任せておけばよいというものではありません。本市も、茨木の子どもたちの現実に早急に対応する必要があります。
今、目の前にいる困難を抱えた子供達のために、1日でも早く、実施方針案が実行され、子どもたちが安心して過ごせる居場所ができることを要望致しまして賛成討論と致します。
議員各位のご賛同を賜りますようお願い申し上げます。
ご清聴ありがとうございました。